2025年にNetflixで配信された『新幹線大爆破』。
サスペンス大作として注目され、世界中で話題となっています。
特に、息をのむような爆破や脱線のシーン、そのリアルさに驚いた視聴者も多いはず。
あのド迫力の映像はどのように撮影したのか?

実際の新幹線を使ったロケ撮影
まず驚くべきは、撮影に本物の新幹線が使用されたこと。
舞台となった「はやぶさ」は、東京から新青森まで実際に7往復してロケが行われました。
走行中の新幹線に極限まで接近しての撮影は、通常では考えられないチャレンジ。これにより、臨場感のある“動く密室空間”がリアルに再現されています。
巨大セット&LEDパネルで再現された「走行中の車内」
さらに、車両内部のシーンは巨大なセットを用意して撮影。
背景には合成ではなく、超高精細のLEDパネルが使われました。
車窓に映る景色はリアルタイムで映し出され、時間帯や光の色合いも忠実に再現。
エキストラの肌に反射する自然光まで表現されることで、乗客役の一部が「本当に酔った」と証言するほどの没入感を実現しました。
“アレ”が帰ってきた──伝統のミニチュア爆破

引用:https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/2011057.html
最大の見せ場、クライマックスの爆破シーン。
ここで活躍したのが、特撮の伝統とも言える「ミニチュア爆破」です。
6分の1スケール(全長約4.2メートル)の精巧な新幹線模型と、100メートルを超えるミニチュア線路を組み合わせ、実際に火薬を使って爆破・脱線・横転を演出。
煙の流れ、破片の飛び方、金属のゆがみ、火花の散り方──CGでは再現しきれない“偶然のリアル”がそこにはあります。
同様に、家屋の爆破シーンもミニチュアを使って撮影。燃え上がる炎や飛び散る瓦礫の動きまでもが、圧巻の映像に仕上がっています。
樋口真嗣監督だからこそできた映像体験

引用:https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/2011057.html
本作の監督・樋口真嗣は、『シン・ゴジラ』や『ローレライ』などで知られる、日本を代表する“特撮畑”のクリエイター。
学生時代から円谷プロや大映特撮に強い影響を受け、実写とミニチュアの融合によるリアルな映像作りに定評があります。
そんな彼が『新幹線大爆破』という素材に向き合った結果、CGに頼りすぎず、あえて火薬を使った爆破や精密なミニチュアによって、「物理の説得力」を持つシーンを生み出しました。
CG全盛の時代にあっても、「実際に爆発させること」の意味と効果を熟知している樋口監督だからこそ成しえた表現といえるでしょう。
リアルな環境が引き出した俳優陣の熱演
リアルなセットと本格的な爆破演出が、俳優たちの演技にも影響を与えました。
主演の草彅剛は「この作品に出るために芝居を続けてきたのかも」と語るほど、撮影現場の熱量は高かったといいます。
過酷な環境の中で、俳優たちは極限の緊張感を体現し、映像に魂を吹き込んでいます。


“本物”が生んだ、かつてない臨場感
『新幹線大爆破』Netflix版の撮影手法は、
- 本物の新幹線を用いたリアルロケ
- 巨大セットとLEDパネルによる空間再現
- 特撮の粋を集めたミニチュア爆破
- 緊張感を最大限に引き出す俳優の演技
という4つの柱で構成されています。
単に「懐かしさ」に頼るのではなく、「本物志向」を貫くことで、オリジナル版へのリスペクトと現代映画としての完成度を両立させた本作。
アナログとデジタルが融合したこの挑戦は、樋口監督と制作陣の“職人技”によってこそ実現したものです。
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