引用:https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20250704-OYT1I50033/
2025年、世界的なミステリー文学賞「ダガー賞〈翻訳部門〉」を日本人として初受賞した王谷晶(おうたに あきら)さん。
話題作『ババヤガの夜』で注目が集まる中、
「ほかにどんな作品があるの?」
「過去作も読んでみたい!」
という声が急増しています。
この記事では、王谷晶作品の中でも特におすすめの5作を厳選し、その魅力をわかりやすく解説します。
リアルな人間描写と鋭い社会感覚、そして独特のユーモアに満ちた彼女の世界に、あなたもきっとハマるはずです。
1. ババヤガの夜|ダガー賞受賞の傑作ハードボイルド
2025年に日本人初のダガー賞受賞作となった話題作。
物語は、暴力団の娘・尚子の護衛を命じられた女性・依子が、奇妙な同居生活を送りながら、家の中に潜む“ある秘密”に迫っていくというもの。
- ハードボイルド×フェミニズム×ミステリーの絶妙な融合
- 血湧き肉躍るような展開と、読後の余韻の深さが圧巻
- 海外でも評価されるほど、多様性へのまなざしが自然に組み込まれている
王谷晶の筆力と感性が世界に認められた、まさに「代表作」と呼ぶにふさわしい1冊です。
2. 完璧じゃない、あたしたち|短編で描く“わたしたち”のリアル
2018年刊行の短編集。23編からなる本作は、さまざまな立場の現代女性やLGBTQのリアルな葛藤を丁寧に描き出しています。
- 恋愛・友情・社会からの疎外感など、多彩なテーマを横断
- 一話ごとの読後感の落差が巧妙で、“短編職人”としての実力が光る
- 百合要素やフェミニズム的視点も豊富で、共感性が高い
王谷作品の入り口としても最適。現代社会に生きる“あたしたち”の胸のうちがじんわり伝わってくる一冊です。
3. 他人屋のゆうれい|笑えて泣ける“現代版・長屋噺”
幽霊と若者の奇妙な同居を描いた、王谷流の人情ファンタジー。
一見バカバカしくも思える設定ながら、実は「孤独」や「つながり」への深い問いが込められています。
- 一人で生きることの難しさと、他人と暮らすことの滑稽さを描写
- 笑えるけれど、ふとした瞬間に泣ける
- 王谷作品の“やさしさ”が前面に出た一冊
社会の枠から少し外れた人々の“普通じゃない日常”に、読者は不思議と癒されていきます。
4. 父の回数|家族の中にある“違和感”をすくいとる
父との関係、家族のかたち、血縁と多様性――。
本作は、「家族だからこそ分かり合えない」ことや、「違いを受け入れる」ことの難しさを静かに描いた作品です。
- LGBTQやダイバーシティを自然体で描写
- 家族にまつわる“気まずさ”や“やるせなさ”がリアル
- 大きな事件は起きないけれど、胸に刺さるセリフが多い
普遍的なテーマを繊細にすくいとる、王谷晶の“静かな名作”です。
5. あなたの涙は蜜の味|イヤミスで光るブラックユーモア
宮部みゆきらと共に参加したアンソロジー『イヤミス傑作選』に収録された短編。
嫌な読後感を残す「イヤミス」の中でも、王谷の作品はひときわ異彩を放っています。
- 一見ありふれた日常が、徐々に狂気へと傾いていく構成
- ブラックユーモアと皮肉が効いていて、“後味悪いのに癖になる”
- 短編の構成力の高さが際立つ
王谷作品の“ダークサイド”に触れたいなら、ぜひこの1編からどうぞ。
まとめ|王谷晶はこんな人におすすめ!
- 共感できる登場人物が読みたい人
- 現代的なテーマ(ジェンダー・多様性)に興味がある人
- イヤミスやハードボイルドも好きな人
- 泣けるけど笑える、そんなバランスが好きな人
王谷晶の作品は、ジャンルを横断しながらも、すべてに“人間”へのあたたかいまなざしがあります。
『ババヤガの夜』だけで終わらせるのはもったいない!過去作もぜひ読んでみてください。
コメント